
BYDが放つ限定ハイパースポーツ『仰望 U9 Xtreme』
中国の新エネルギー車(NEV)最大手である比亜迪(BYD)は、同社が展開する超高級・高性能ブランド「仰望(Yangwang)」から、世界限定30台のEVハイパースポーツカー「仰望 U9 Xtreme(通称 U9X)」を正式発表しました。本モデルは同社が培ってきた電動化技術の結晶であり、従来の電動スーパーカーの常識を覆すサーキット走行特化型スペックを備えています。
トラックを支配する驚異のスペックと世界記録
「仰望 U9 Xtreme」は、BYDが独自に開発した全域1200V高電圧プラットフォームを基礎としています。心臓部には自社製の30,000rpmという超高回転型モーターを4基搭載する「易四方(e4)」テクノロジーを採用。
各モーターのピーク出力は555kWに達し、システム総合出力は驚異の3000PS(馬力)オーバー(約2200kW)を叩き出します。パワーウェイトレシオは1217PS/tというレーシングカー並みの数値を実現しています。
極限状態での連続走行を支えるため、冷却システムには熱伝導率を高めた二層構造の新設計空冷・液冷システムを導入し、総合冷却効率を133%向上。足回りには、超高温下でも制動力を維持する「チタン合金製カーボンセラミックブレーキ(炭素繊維強化セラミック)」システムを採用しています。タイヤはモータースポーツ対応のセミスリックコンパウンド(GitiSport e・GTR² PRO)を装着し、強烈なトルクを確実に路面へ伝達します。
これらの仕様により、2025年8月に実施された直線エンジニアリングテストにおいて、世界最高速度496.22km/hという前人未到の記録を達成。さらに同年9月、世界で最も過酷と言われるドイツのニュルブルクリンクサーキット北コース(Nordschleife)でのタイムアタックにおいて、6分59秒157を記録し、市販量産電動車として初めて7分の壁を突破しました。
ブラジル市場への進出と唯一のオーナー「レオ・サンチェス」
BYDのブランド・広報部門総経理である李雲飛氏は、Weibo(微博)の公式アカウントにて、ブラジル初の「仰望 U9 Xtreme」のオーナーが、同国の著名レーシングドライバーであり大富豪のレオ・サンチェス氏に決定したことを明らかにしました。
ブラジル国内からは約1ヶ月間で20件を超える購入希望のオファーが集まりましたが、サーキットにおける確かな運転技術と「仰望」ブランドの技術に対する深い造詣が考慮され、サンチェス氏へのデリバリーが決まりました。
南米の大国ブラジルは、近年急速にNEVの普及を加速させています。政府による減税措置や充電ネットワーク整備といった政策支援により、都市部ではBEV(純電気自動車)の存在感が高まっており、こうしたウルトララグジュアリー市場における電動ハイパーカーの投入は、BYDのブランドイメージを大きく引き上げる象徴となります。
ラグジュアリーハイパフォーマンス市場への本格挑戦
BYDはバッテリーやモーター、制御半導体(SiCパワーモジュールなど)といった主要部品の内製化で強みを持ち、年間300万台規模の中低価格帯量産車で覇権を握ってきました。今回の「仰望(Yangwang)」ブランドの展開は、これまで欧州の伝統的な自動車メーカーが独占してきた超高級・ハイパフォーマンス市場のニッチ領域に対しても、中国製EVが技術力で対等以上に渡り合えることを実証する挑戦です。
グローバルで30台限定という限られた生産枠の中で展開される本モデルは、顧客一人ひとりの好みに合わせた個別カスタマイズプランが用意されており、オーナーの所有欲を刺激するプレミアムモデルとなっています。BYDはこのハイエンドスポーツを通じて、エコカーとしてのEVを超えた「憧れのハイテクマシン」としての付加価値を世界に示す狙いがあります。
出典: IT之家
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