中国テック番犬

全般検索

    Mobility

    小鵬匯天の「空飛ぶクルマ」が中東から600台の大型受注を獲得

    中国の空飛ぶクルマ新興「小鵬匯天(XPeng AeroHT)」が、中東市場で初の有人飛行と同時に600台の大型受注を達成。新ブランド「ARIDGE」の発表、年産1万台規模の広州工場で2026年から量産開始予定の「陸地航母」シリーズやハイブリッド機「A868」の最新動向を解説します。

    小鵬匯天の空飛ぶクルマARIDGEのロゴとビジュアル
    小鵬匯天の空飛ぶクルマARIDGEのロゴとビジュアル
    中東市場で600台の予約販売を達成し、国際ブランド「ARIDGE」を発表した小鵬匯天

    近年、航空機と自動車の境界を越える「空飛ぶクルマ(eVTOL)」の開発が中国の新興企業の間で本格化しています。

    その筆頭格である、広州市を拠点とする電気自動車(EV)大手・小鵬汽車(XPeng)傘下の「小鵬匯天(XPeng AeroHT / エクスペン・エアロエイチティー)」は、独自の飛行モビリティ「陸地航母(ランド・エアキャリア / Land Aircraft Carrier)」を掲げ、垂直離着陸(eVTOL)機能と地上走行性能を兼ね備えた車両の量産化を進めています。すでに中国国内で7,000台を超える受注を集める同社が、グローバル展開を加速させる驚異の海外初案件を獲得しました。

    中東市場で600台の大型受注を達成

    2025年10月12日、小鵬匯天はドバイ(UAE)にて「陸地航母」の初の国際試乗・飛行会を開催し、海外初となる有人公開飛行を成功させました。

    同時に、同社はUAEのAli & Sonsグループ、カタールのAlmanaグループ、クウェートのAlSayerグループ、およびUAE華商総会との間で、合計600台の空飛ぶクルマの先行購入契約を締結したと発表。これは空飛ぶクルマ(eVTOL)分野における海外最大規模の一括大量受注として業界に衝撃を与えました。

    中東地域への納入は最速で2027年を予定しており、中東市場を「長距離の移動需要が高く、航空インフラが整備途上にある砂漠地帯などをつなぐ画期的な次世代モビリティソリューション」と位置づけています。

    世界初のコンベア式量産ラインを備えた広州工場

    小鵬匯天は、量産体制の構築も一歩リードしています。

    広州市に新設した飛行車専用のスマート製造拠点は2025年9月末に全ラインの設置を完了。世界初となる「コンベア組立ライン方式」での飛行車生産ラインを構築し、2026年より本格的な量産を開始します。この工場は年産1万台のキャパシティを有しています。

    生産ラインは自動車の精密組立と航空機の厳しい品質検査プロセスを融合したもので、30分に1台のペースで完成したモジュールを出荷可能です。従来の手作業に依存していた小規模なヘリコプター製造等に比べ、劇的なコストダウンと納期の短縮(リードタイムの圧縮)を実現しています。

    次世代ハイブリッド長航続モデル「A868」の初公開

    イベントでは、開発中の新型ハイブリッド(混合動力)空飛ぶクルマ「A868」も披露されました。

    A868は電動推進(バッテリー)と内燃エンジン(発電用ジェネレーター)を組み合わせたハイブリッドパワートレインを搭載。設計上の航続距離は500km以上、最高速度は360km/hを超えます。これにより、都市内の一時的な移動だけでなく、インフラの乏しい離れた都市間の地域間輸送にも対応可能です。A868は2025年11月の広州モーターショーで初公開され、順次安全認証やテスト飛行のステップへ進みます。

    グローバルブランド「ARIDGE」で世界へ

    小鵬匯天は、海外展開に向けた新グローバルブランド「ARIDGE(エアリッジ)」を正式発表しました。

    漢字の「飛」をグラフィックモチーフにしたロゴマークが特徴で、Air(空)とBridge(橋)をかけ合わせた名称には「空と地上、人と人をつなぐ架け橋」という意味が込められています。今後、すべての海外進出においてこのブランドを展開していく予定です。

    実用化への課題と展望

    2026年の量産開始と2027年の中東投入に向け、小鵬匯天は各国の規制当局との間で「型式証明(適航証明 / Type Certification)」の取得作業を進めています。航空法規や適航認証プロセスは自動車よりも厳格であり、実用化のためには各国の航空当局との密接な協調が欠かせません。さらに、密集地での運用に向けた低空交通管制(UTM)や空域管理システムの整備も課題となります。

    それでも、20年後に飛行車市場は2兆ドル規模へ急成長するとの楽観的な予測もあり、今回のドバイでの600台受注は、SF映画で見た未来の交通インフラが現実のビジネスとして離陸しつつあることを雄弁に物語っています。

    Source

    コメント

    ...
    コメントを読み込んでいます...

    コメントを投稿する

    ※ メールアドレスは公開されません。