
AIスタートアップ「零一万物(01.AI)」の共同創業者兼技術副総裁を務め、AIインフラの構築を主導した戴宗宏(Dai Zonghong)氏が、新たな挑戦を開始しました。
同氏が2025年3月に設立した新会社「基点起源(OriginBase)」は、多くのAIスタートアップが開発の非効率さから敬遠しがちな「B2B向けカスタムAI開発(導入)」という領域に、革新的な自動化アプローチで参入。わずか20人のエンジニアチームで、本来なら100人以上のエンジニアやコンサルタントを要する大規模プロジェクトを同時並行でこなすという、驚異的な生産性を実現しています。その仕組みと戦略に迫ります。
AIがビジネスプロセスを自動学習する「AIオペレーティングシステム」
従来のエンタープライズ(B2B)向けAIカスタム開発では、ITコンサルタントやデータサイエンティストが顧客企業に数ヶ月間張り付き、業務ヒアリング、データ収集、モデリング、プロセス調整などを手作業で行うのが一般的でした。このプロセスは属人化しやすく、横展開が困難で、莫大なコストがかかる要因となっていました。
基点起源はこのプロセスを、自社開発の「AIオペレーティングシステム(AI OS)」によって根底から自動化しました。
- 業務フローの自動記述 企業の製造現場や業務システムに眠る複雑な生データをAI OSにインプットするだけで、AIが自律的に業務フロー全体を学習し、わずか1日でプロセスのデジタルツイン(デジタル上での業務再現)を自動作成します。
- 物理とデータのハイブリッド駆動 鉄鋼、化学、精密製造、半導体といった複雑な物理特性や厳格なルールが存在する「プロセス製造業」においても、物理原理(機理モデル)とAIによるデータ解析を組み合わせ、自律的な制御、プロセス最適化、品質監視などを実行します。
これにより、これまで人間のエキスパートチームが泥臭く手作業で行っていたシステムインテグレーションやコンサルティング業務を、AI自身が高速に肩代わりします。
「成果」に対して対価を支払う新時代のB2Bモデル
この自動化技術によって、基点起源は圧倒的な組織効率を誇っています。
現在、同社はわずか20人ほどの少数精鋭エンジニアチームで、製鉄から新エネルギーに及ぶ多様な業界のカスタムAI開発プロジェクトを7〜8件同時に推進しています。従来のAIソリューション企業であれば、100人以上のエンジニアチームがなければ対応不可能な開発規模です。
こうした効率性を武器に、同社は製品の機能やツールそのものに対してではなく、導入によって得られた「コスト削減や品質向上などの成果(Value-based pricing)」に基づいて対価を得る、顧客ファーストなビジネスモデルを提唱しています。このアプローチは、実利的な効果を重んじる中国の製造業企業やB2B市場のニーズと見事に合致し、設立から間もないうちに天使ラウンドで1億元(約20億円)以上の資金調達を完了しました。
AIによるビジネスプロセスの自動生成は、労働集約型だった受託AIシステム開発の在り方そのものを、技術主導のスケーラブルなビジネスへと変革する可能性を秘めています。
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