上海「世界AI大会(WAIC)」でテンセントが示した実用化ロードマップ
中国のインターネット・テクノロジー最大手である**テンセント(Tencent、騰訊)**は、上海で開催された「世界人工知能大会(WAIC)」において、同社の最新AIポートフォリオを一挙に披露しました。
「使えるAIを、誰もが手にできる生産力に(応用級AI、成就人人的生長力)」というコアテーマのもと、人々の働き方やデジタルライフを根本から変えうる、実用的かつイノベーティブな技術プラットフォームを展開。
本記事では、その中でも特に一般ユーザーのコミュニケーションに直結するAIアシスタント「元宝(Yuanbao)」の最新機能と、クリエイターの表現力を劇的に高めるマルチモーダルAI「混元(Hunyuan)」のイノベーションに焦点を当てて紹介します。
1. 感情を交わすビデオ通話:AIアシスタント「元宝」の進化
テンセントが一般消費者向け(ToC)に提供しているAIアシスタントアプリ「元宝」は、大規模言語モデル「混元」をバックエンドに採用した強力な対話ツールです。今回のWAICで発表された最大の見所は、同アプリに搭載された「超低遅延ビデオ通話機能」です。
- より「人間らしい」インタラクション: 従来のAIボットに見られた不自然な間(タイムラグ)を解消し、ほぼリアルタイムでスムーズな音声・映像対話を達成。表情のトラッキングや音声のイントネーションによる感情表現を豊かにし、ユーザーはまるで実際にテレビ電話で友人と話しているかのような温かみのあるコミュニケーションを体験できます。
- デジタルデバイドの解消へ: テキスト入力が難しい高齢者や、視覚障害を持つユーザーにとっても、直感的な対話を通じて質問や日常の困りごとの相談ができるパーソナルなサポート役として機能し、AIテクノロジーのアクセシビリティ(a11y)向上に大きく貢献しています。
2. 3Dや動画の制作ハードルを破壊する、マルチモーダルモデル「混元」
クリエイティブおよびビジネスプロフェッショナル向けとして披露されたのが、テンセントの基盤モデル「混元(Hunyuan)」の進化です。混元はテキスト、音声、画像、動画、そして複雑な3Dモデルデータに至るまで、多様なモダリティの生成と理解をワンストップで行える先進的なマルチモーダル能力を備えています。
- 革新的な「混元3D AI創作エンジン」: 業界初となる、単一のテキストプロンプトや平面的2D画像から、ゲームやメタバース空間、製造業のプロトタイプでそのまま利用可能な高品質3Dコンテンツ(メッシュおよびテクスチャ)を瞬時に自動生成するツールです。
- クリエイターの解放: これまで高度な専門ソフト(BlenderやMayaなど)の操作技術と膨大な時間を必要としていた3Dモデリングの障壁を劇的に低下。小規模なインディーズゲーム開発者や映像制作プロダクションは、構想を秒単位で立体化し、プロトタイピングのイテレーション速度を10倍以上に高めることが可能になりました。
結論
テンセントがWAIC 2025で見せたアプローチは、AIモデルのパラメータ数や単なる数値スペックの競争を追いかけるだけでなく、「実務や生活に今すぐ適用できるUXとツールの完成度」を極める方向にシフトしています。
自社独自の巨大SNS(WeChat等)のエコシステムや、強大なゲーム事業との相乗効果により、テンセントのAI「混元」と「元宝」は、実用フェーズにおける最も強力なプラットフォームの一つとして存在感を高めています。
Source: 36Kr
コメント
...