アプリ市場分析大手の米App Annie(アップアニー)が提供する分析ツールが、これまでブラックボックス化していた中国のAndroid市場に対応したことで、世界のスマートフォンアプリのリアルな利用状況が浮き彫りになりました。
これまで中国のAndroid市場は、Google Playが制限されている背景から、無数の独立系ローカルストアが乱立し、サードパーティが実情を把握することは極めて困難でした。
今回のApp Annieのアップデートには大きな意義が2点あります。
- 中国Androidアプリ市場の可視化:中国のスマホ市場の8割以上を占めるAndroidユーザーの利用動向を捕捉可能になったこと。
- 世界共通のものさしでの比較:App Store、Google Playストア、そして中国のサードパーティストアを合算し、世界全体のアプリ市場を同一基準で分析できるようになったことです。これにより、中国国内でのみならずグローバル市場における中国テック企業の真の立ち位置が見えてきました。
月間アクティブユーザー数(MAU)が示す真の実力
アプリの評価指標として「ダウンロード数(DL数)」が強調されることがありますが、これはプロモーションによって一時的な水増しが可能なため、サービスが継続的に愛用されているか測る指標としては不十分です。そのため、真の実力を測る上では、1カ月間に最低1回アプリを起動したユーザー数を示す「月間アクティブユーザー数(MAU)」が重視されます。
App Annieが今回発表した、世界のゲームを除く一般アプリのMAUランキングは以下の通りです。
- WhatsApp Messenger(Facebook傘下)
- WeChat(微信)(テンセント)
- Facebook Messenger
- Instagram(Facebook傘下)
驚くべきことに、トップ5のうち4枠をFacebook(現Meta)グループのアプリが独占する中、中国のテンセント(騰訊)が展開する「WeChat」が世界3位に食い込んでいます。
グローバル展開なしで10億MAUに迫る「生活インフラ」としてのWeChat
Facebookグループのアプリはいずれも世界中で使われている「グローバルアプリ」です。それに対し、WeChatは中国国内および海外の華人コミュニティが主体の利用でありながら、MAUは9億6300万人(決算ベース)と、10億人規模に迫っています。日本や台湾、タイなどで広く使われている「LINE」のMAUが約2億人で成長鈍化していることと比較すると、その規模感は圧倒的です。
WeChatがこれほどまでに強固な基盤を築いている理由は、単なるチャットツールから「生活インフラ(スーパーアプリ)」へと進化した点にあります。
WeChatのアプリ内では、メッセージの送受信だけでなく、店舗での決済(WeChat Pay)、タクシーの配車、フードデリバリーの注文、公共料金の支払いまで、ほぼすべての日常アクションがシームレスに完結します。スマートフォンファーストで育った若い世代だけでなく、パソコン操作に不慣れだった中高年・高齢者層にとっても扱いやすかったことが、中国全土での爆発的な普及を支えました。
中国では一部の海外SNSやアプリが接続規制されていますが、仮に将来的にこれらの規制が緩和されたとしても、決済や生活利便機能が深く生活に埋め込まれたWeChatの牙城を崩すことは、海外テック企業にとって極めて困難であると言えます。
情報源:App Annie
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