中国のインターネット大手Tencent(テンセント)の株式時価総額は2017年5月2日、3000億ドル(約34兆円)を突破した。テンセントといえばメッセージアプリ「WeChat(ウィーチャット)」で有名だが、モバイル決済サービスやモバイルゲーム事業も非常に好調だ。
同社は最新の決算発表で「2017年のテーマはコネクションだ」とした。これは、引き続きWeChatが同社のビジネスの中核を担うことを示している。同アプリはわずか6年で世界有数のSNSプラットフォームに成長した。
WeChatは単なるメッセージアプリではなく、ニュースや商品の情報収集源にもなっている。さらにオンラインでもオフラインでもモバイル決済を利用してアイテムを購入することが可能で、モバイル広告やロイヤリティプログラムのサービスも好調だ。ほとんどの世界的ブランドがWeChatに公式アカウントを持っており、マーケティングや顧客サービスに利用するほか、実店舗への送客(O2O)の入り口として活用している。
オンラインとオフラインの両面でWeChatを活用している代表例が百貨店だ。中国の大手百貨店チェーンで、2017年1月にAlibaba(アリババ)が買収を提案した「銀泰商業(インタイム・リテール)」もWeChatの決済サービスを導入している。店舗での決済に加え、WeChatで注文した商品を近くの店舗で受け取れるサービスなどを展開している。
こうしたなか、テンセントが次なる成長エンジンとして注力するのがAI(人工知能)領域だ。同社は5月2日、米ワシントン州シアトルにAI研究所を新設すると発表した。元マイクロソフトの主席研究員であるドン・ユー(Dong Yu)氏を代表に据え、音声認識と自然言語処理を中心に研究を進める。テンセントがAI研究所を設置するのは、2016年の中国・深セン市に次いで2か所目となる。
テンセントはAIのビジネス応用を加速させているものの、この分野への本格参入は比較的遅かった。競合であるBaidu(バイドゥ)はすでに画像認識や音声認識、自動運転車などを含むAI関連技術に莫大なリソースを投入している。バイドゥは2017年の家電見本市(CES)で、家庭用音声制御ロボット「Little Fish(小魚在家)」を発表し注目を集めた。
しかし、テンセントにはWeChatの月間アクティブユーザー(約8億8000万人)が生成する膨大な会話データという圧倒的な強みがある。このリアルデータにAIを組み合わせることで、競合に対抗しイノベーションを加速させることができるだろう。
中国のメッセージング分野において、WeChatは圧倒的な覇者だ。そこにAI技術を取り入れることによって、巨大な規模のO2Oコマースが実現する。中国市場で成功を目指すグローバル企業にとっても、WeChatプラットフォームの活用は今後ますます重要になってくる。
情報源:Forbes
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