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    「WeChat」は中国版LINE?それともFacebook?

    アクティブユーザー5億人を超える中国の大人気アプリ「WeChat(微信)」の基本機能や沿革を解説。LINEのようなチャット機能、Facebookのようなタイムライン機能(モーメンツ)、さらに社会インフラ化した決済機能「WeChat Pay」の多面性を紐解き、その独自エコシステムを解説します。

    「WeChat」は中国版LINE?それともFacebook?
    WeChatの機能と位置づけ
    多機能であり、中国の生活インフラとして普及するWeChatの構成イメージ

    中国人の日常を支える巨大アプリ「WeChat」の正体

    月間アクティブユーザー数が5億人を突破し、中華圏のデジタル社会において圧倒的な存在感を放つコミュニケーションアプリ「WeChat(微信)」。

    日本国内のユーザーには馴染みが薄いものの、訪日インバウンドの盛り上がりを受けて、多くの店舗や日本のエンタープライズ企業が同プラットフォームを活用したプロモーションや決済対応を進めています。本記事では、WeChatの主要な機能や歴史的背景、そし日本のアプリと何が異なるのかを詳しく紹介します。


    独自のインターネット環境で育ったテンセントの主要プラットフォーム

    中国のインターネット市場は、政府による厳格なアクセス制限(グレート・ファイアウォール)が存在するため、GoogleやFacebook、Twitter、LINEといった欧米・日本発のメジャーなサービスが利用できません。その結果、中国独自のサービスが急激な成長を遂げました。

    WeChatを運営するのは、中国を代表するインターネット大手のテンセント(Tencent:騰訊)です。テンセントは元々、PC向けのメッセンジャーソフト「QQ」で国内のコミュニケーション市場を支配し、その後ゲーム事業やモバイル決済「Tenpay(財付通)」など多岐にわたる分野へ進出した「世界最大のゲーム会社・ネット企業」の一つです。WeChatは、このPC向けメッセンジャーであるQQのモバイルシフトを決定づける製品として、2011年にリリースされました。


    多機能性が生み出す「スーパーアプリ」という新しい概念

    WeChatはしばしば、日本における「LINE」や欧米における「Facebook」の代替と説明されますが、その機能群は既存のSNSの枠内に留まりません。

    1. チャット・コミュニケーション(LINE的側面) テキストチャット、無料音声・ビデオ通話機能に加え、動く「ステッカー(スタンプに相当)」の送受信など、クローズドな関係におけるコミュニケーションの中核を担います。
    2. モーメンツ(Facebook的側面) 自分の近況写真やテキストを投稿し、友人同士が「いいね!」やコメントを付け合えるソーシャルフィード「モーメンツ(朋友圈)」機能です。
    3. シェイクと周辺検索(マッチング・O2O的側面) スマートフォンを物理的に振ることで、世界中で同時にスマートフォンを振っている見知らぬユーザーと繋がることができる「シェイク」機能や、近隣の店舗情報を取得できるiBeacon連携機能です。
    4. WeChat Pay(社会インフラ的側面) アプリ内に統合されたモバイル決済機能です。銀行口座と紐付いたQRコードの提示のみで、ショッピングから公共料金の支払い、個人間での「紅包(デジタルお年玉)」の送金までが瞬時に完結します。

    技術対比:日本の「分散型アプリ環境」と中国の「統合型スーパーアプリ環境」

    日本や欧米のモバイル市場では、メッセージ送信には「LINE」や「WhatsApp」、友人関係の構築には「Facebook」や「Instagram」、決済には「Apple Pay」や各種クレジットカード、情報収集には「Safari」や「Google」といったように、目的に応じて異なる企業の個別アプリを使い分ける「分散型」の環境が一般的です。

    これに対し、中国のWeChatは「一人のユーザーが生活に必要なあらゆるデジタル処理を一つのアプリ内で完結させる」ことを前提として設計された「スーパーアプリ」です。

    ユーザーは別のアプリを起動したり、ブラウザを開いたりすることなく、WeChatの中でタクシーを呼び、レストランを予約し、支払いを済ませることができます。この圧倒的な利便性が高いスイッチングコストを生み出しており、日本企業がインバウンド消費を獲得するためには、単に多言語対応を進めるだけでなく、WeChatの構築する独自エコシステムの中に自社のタッチポイントを埋め込んでいくマーケティング手法が必須となっています。

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