訪日中国人観光客を惹きつけるインバウンド集客の新潮流
近年、増加する訪日中国人観光客を獲得するため、多くの日本企業が新たなデジタル集客ソリューションの導入を進めています。その中でも、中国で絶大な人気を誇るスーパーアプリ「WeChat(微信)」の「シェイク(揺一揺)」機能や「紅包(ホンバオ:デジタルお年玉)」機能を組み合わせたプロモーション施策が、絶大な効果を発揮しています。
WeChatのシェイク機能とは
WeChatシェイク(揺一揺)とは、ユーザーがアプリを開いた状態でスマートフォンを物理的に振る(シェイクする)ことで、周辺の店舗が発信するビーコン信号(iBeaconなど)を受信し、お得なクーポンや店舗情報を瞬時に獲得できる機能です。
単に広告を一方的に送りつけるのではなく、「自らアクションを起こすことで報酬を得る」というゲーミフィケーションの要素が取り入れられているのが特徴です。
中国国内では一般的な集客プロモーションとなっており、春節(旧正月)の時期には日本国内の主要な国際空港、百貨店、鉄道会社の主要駅などでも、このシェイク機能を活用したクーポン配信や割引キャンペーンが広く展開されています。
爆発的流行を誇る「紅包(デジタルお年玉)」の仕組み
「紅包(ホンバオ)」とは、元々は中国の伝統的なお年玉や祝儀の習慣を指す言葉です。WeChatではこれをデジタル化し、個人間での手軽な送金や、企業のキャンペーンにおけるインセンティブ設計として取り入れました。
テンセント(騰訊)の発表によると、2016年2月7日(旧正月の大晦日)の1日間だけで、WeChatを通じてやり取りされた紅包の総数はなんと80億回に達し、前年比で8倍以上の成長を遂げました。
春節の期間中、中国国内の30万店舗だけでなく、世界中の主要都市(ニューヨークのタイムズスクエア、カナダのバンクーバー、韓国の仁川国際空港など)の2,000を超える実店舗でWeChatシェイク連動の紅包イベントが同時開催されました。
日本市場における対比と示唆
日本国内では、LINEが「ふるふる」機能を友だち追加や一部プロモーションに利用していますが、決済機能(LINE Pay)や銀行口座と密接に紐付いた「個人間送金・ギフト文化」のゲーミフィケーションという点においては、当時のWeChatの仕組みが大きく先行していました。
中国ではお正月の風物詩そのものがデジタル化され、モバイル決済やO2O集客の強力な起爆剤となっています。訪日インバウンド消費の獲得を目指す日本の小売・観光業界にとって、このような中国特有の生活習慣と最新テクノロジーの融合を理解し、現地のプラットフォームをいかに活用するかが成功の鍵を握っています。
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