近年、近い将来に本格化する少子高齢化や人口減少を見据え、日本国内の消費市場の縮小が懸念されている。これまで内需中心で活動してきた小売業やサービス業、メーカーなどの日本企業も、持続的成長のために海外市場へ目を向けるのが不可欠な時代になりつつある。特に、隣国である中国は市場の圧倒的な規模から、グローバル展開において最も無視できないターゲットである。
しかし、海外のリアル市場への進出には、商習慣の違いや複雑な規制、チャネル開拓といった高い参入障壁が存在する。また、中国や米国のように広大な国土を持つ市場では、リアル店舗を全国展開して全域をカバーしようとすれば、莫大な初期投資と運営コストが必要となり、多くの企業にとって現実的ではない。
そこで強力な選択肢として浮上しているのが、インターネットを通じて直接取引を行う**「越境EC(クロスボーダーEC)」**である。地理的な制約を飛び越えてアプローチできる越境ECは、現地での実店舗展開に伴う巨額の投資やリスクを抑えながら、中国全土の膨大な消費者を自社のダイレクトなターゲット層にできる極めて効率的な販売チャネルだ。
2015年現在の中国における越境ECの市場実態およびユーザーの人気動向を踏まえ、主要なプレイヤー(プラットフォーム)の総合ランキングを以下に示す。
中国の主要越境ECプラットフォーム総合ランキング
- アマゾン中国(亜馬遜中国 / Amazon China)
- グローバルな物流網と信頼性を強みに、中国国内での海外製品購入チャネルとして高いシェアを誇る。
- 天猫国際(Tmall Global)
- アリババグループが運営する中国最大規模のB2C越境ECプラットフォーム。多くの大手日本ブランドがフラッグシップショップを出店している。
- イーチネット(易趣網 / EachNet)
- 初期のC2Cプラットフォームから越境ECへとシフトし、独自のポジションを維持。
- ササ・ドットコム(莎莎網 / SaSa)
- 香港を拠点とする化粧品小売大手「SaSa」の公式オンラインストア。ビューティー分野で圧倒的な支持を集める。
- 洋碼頭(Yamatou)
- バイヤーによる海外買い付けと自社物流を組み合わせた、急成長中の独立系モバイル越境ECプラットフォーム。
- 跨境通(Kujingtong)
- 上海の自由貿易試験区がバックアップする、政府公認の越境EC通関プラットフォーム。
- 麦楽購(Milegou)
- 乳幼児向け粉ミルクや育児用品、健康食品に特化した専門EC。品質への信頼性が極めて高い。
- 55海淘(55Haitao)
- 海外ECサイトのキャッシュバックやクーポン情報を発信する、中国最大級の越境ECナビゲーション・ポータル。
- 蜜芽(Miya / 旧:蜜芽宝貝)
- マタニティ・ベビー用品に特化したバーゲン型ECプラットフォーム。
- 楽天市場(日本・楽天グローバルマーケット)
- 日本国内の豊富な店舗から直接購入できる信頼のルートとして、中国のヘビーユーザーに根強い人気がある。
- 海淘城(Haitaocheng)
- 海外アパレルやブランド品の個人輸入代行をルーツとする専門プラットフォーム。
- 金箍棒海外購(Jingubang)
- ユーザーフレンドリーなUIとスマートな情報レコメンドを特徴とする越境ECサービス。
- 海豚村(Haituncun)
- 世界各地のドラッグストアやブランドと直接連携し、直販モデルを展開する越境EC。
- 魅力恵(Meilihui / MEILIHUI)
- 高級ブランドのアパレルやライフスタイル雑貨に特化したフラッシュセール型EC。
- 168海淘(168Haitao)
- 海外製品の共同購入(グループ購入)や格安転送サービスなどを提供するニッチEC。
日本企業が中国市場を攻略するにあたっては、天猫国際のようなメガプラットフォームへの出店だけでなく、自社の製品カテゴリ(ベビー用品、コスメ、ファッション等)に応じて、これら専門性の高い中堅・特化型プラットフォームやバイヤー網(洋碼頭など)を最適に組み合わせるマルチチャネル戦略が求められている。
(参考資料:2015年クロスボーダーEC市場分析報告)
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