
深セン市の交通ICカードが直面する課題について前回取り上げましたが、今回は北京市の交通ICカード「一卡通(イーカートン、別名:シティパス)」の実名登録制(実名制)導入に向けた新たな動きと、それに伴う多機能化の展望についてレポートします。
関係筋によると、北京市交通カード運営会社は現在、近い将来の導入に向けて関連部門やユーザーへの打診を進めています。実名制が実現すれば、高速鉄道(高鉄)チケットの購入やオンラインショッピングなど、生活のあらゆるシーンに交通カードが浸透することになります。
新規格システムによる機能拡張
北京交通情報センターによると、現在この新規格に基づいたカードシステムおよびビジネスプロセスの企画が進められています。
従来のカードでは、バスや地下鉄、タクシーでの運賃支払いに加え、一部の行政関連や指定店舗での少額決済に対応しているのみでした。しかし、新規格の導入により以下の機能が追加される予定です。
- 交通・鉄道ネットワークの統合: 高速鉄道(新幹線相当)の乗車券購入と改札通過のシームレス化。
- 公共サービスの拡充: レンタサイクル(シェアサイクル)の貸出管理や決済。
- O2O・少額決済の拡大: ポータブルICリーダー等を用いることで、自宅でのオンラインショッピング決済にも対応。
- 身分証明書の統合: ホテル、学校、オフィスビル、公園、企業内などの入場管理やセキュリティ認証への活用。
ネット巨人をも凌駕する「物理インフラ」の強み
業界関係者は、交通ICカードが非接触通信(NFC)などを備えて実名化されれば、インターネット決済プラットフォームよりもはるかに低コストで、極めて多様なリアル決済シーンを独占できると指摘しています。これは、アリババ(Alibaba)の「タオバオ(淘宝網)」やテンセント(Tencent)といったインターネットの巨人でさえ、容易には手を出せないリアルな物理インフラの強みです。
現在、北京一卡通の累計発行枚数は6,000万枚を超えています。さらに、中国政府が推進する全国35都市間(将来的にはさらに拡大予定)での交通ICカード相互利用化が進めば、瞬時に数千万から数億人規模のアクティブユーザーを抱える巨大決済プラットフォームが誕生することになります。
携帯電話を起動してアプリを開くよりも「かざすだけ」で決済できる交通カードは、支払いの迅速性と手軽さにおいて抜群のユーザー体験を誇り、今後のモバイル決済覇権争いにおいて強力なダークホースとなる可能性があります。
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