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GoogleとAlibaba、AIで逆転劇 2025年

2025年、米国のGoogleと中国のAlibabaがAI投資で大きく株価を伸ばし、投資家の注目を集めている。両社はそれぞれの市場でAIを中核に据えた戦略転換を行い、過去半年で株価が急上昇した。


GoogleとAlibaba、AIで逆転劇 2025年 のキービジュアル

はじめに

2025年、米国のGoogleと中国のAlibabaがAI投資で大きく株価を伸ばし、投資家の注目を集めている。両社はそれぞれの市場でAIを中核に据えた戦略転換を行い、過去半年で株価が急上昇した。

GoogleのAI戦略と株価上昇

バロン・チャイナが2025年11月21日までに実施した投資品種別の上昇率ランキングによれば、テクノロジー七大巨頭(Magnificent 7)の中で最も高い伸びを示したのはGoogleである。半年前、Googleは評価額が七大巨頭の中で最も低く、業界では「旧態依然」「AIへの遅れ」「検索事業の陳腐化リスク」などの批判が飛び交っていた。

しかし、同社は2025年8月に画像生成AI「Nano Banana」を発表し、AI画像編集分野で先駆的な機能を示した。続く9月には米国の反トラスト訴訟が決着し、AI技術を自社サービスに深く統合できるようになった。さらに11月にリリースされた大規模言語モデル「Gemini 3」は、期待を大きく上回り、ChatGPTに匹敵する性能を示した。

同時期、投資家のウォーレン・バフェットがGoogle株を取得したという報道が出たことも相まって、同社の時価総額は2025年11月時点で3兆米ドルを突破した。これは、AIを中心とした製品群が市場から高く評価された結果であり、半年以内にAI不振株からAI受益株へと認識が転換した稀有なケースと言える。

AlibabaのAI再起と市場シェア回復

中国側でも、Alibabaは同様にAIへの大規模投資で劇的な回復を遂げた。2025年11月21日までの年初来の株価上昇率は82%に達し、過去四年間の低迷を一気に脱した。

2020年に約8,600億米ドルでピークに達したAlibabaの時価総額は、2024年には1,800億米ドル前後にまで減少し、ピーク時の約5分の1にまで落ち込んでいた。2024年の時点で、同社は米国のAmazonと比べて時価総額が約7分の1にまで縮小していた。

2025年に入ると、Alibabaはまずクラウド事業の急成長でAI技術力を示した。その後、3年間で総額3,800億人民元(約5,300億米ドル)に上るAI基盤投資計画を発表し、AIへの本格的なコミットメントを示した。年末にリリースされた対話型AIアプリ「千問(Qianwen)App」は、AI to C市場への本格参入を意味し、同社は「スーパーアプリ」構想の実現を目指す。

創業者の馬雲(ジャック・マー)が2025年9月に阿里巴巴(Alibaba)キャンパスのバーに姿を現した翌日、株価は5%以上上昇した。これは、創業者の復帰が市場に与える心理的インパクトを如実に示す事例である。

創業者の再登場がもたらした組織改革

Googleにおいては、共同創業者のセルゲイ・ブリンがAIブームに刺激されて復帰したことが転機となった。ブリンは、社内に散在していたGoogle Brain(シリコンバレー)とDeepMind(ロンドン)の二大AI部門を統合し、内部の権力闘争を収束させた。また、Transformer技術の主要研究者が離職の危機に瀕した際、直接給与体系を見直し、巨額の報酬で呼び戻すことで技術流出を防いだ。

Alibabaでも同様に、創業者の馬雲が「高規格民企座談会」に出席したことが復帰のシグナルと受け取られた。その後、AI基盤への3,800億人民元投資に加えて、日々の「通義千問」大規模モデルの進捗報告を要求し、500億人民元規模の地方生活サービス補助金を投入した。組織面では、パートナーシップ制度を支える26人の合伙人チームを17人に精鋭化し、意思決定スピードを向上させた。

このように、創業者の権威とビジョンが組織改革を加速させ、AI投資への迅速な意思決定と実行力をもたらした点は、両社の逆転劇に共通する重要因子である。

AI投資のリスクと今後の展望

AIへの大規模投資は確実にリターンを保証するものではない。GoogleはCEOのサンダー・ピチャイが年俸2.5億米ドルという高額報酬を受け取る職業経営者であり、組織改革に伴うリスクを自らが背負う形になる。一方、Alibabaは中国国内のクラウド市場が米国のAWSやMicrosoft Azureに比べて付加価値が低く、短期的に投資回収が難しいと指摘されている。

さらに、AIチップやハードウェアの供給網が世界的に逼迫している中で、両社は自社のAIインフラ(訓練・推論)を自前で構築する必要がある。これには膨大な資本と技術人材が不可欠であり、競争が激化する市場での持続的優位性を保つには、継続的な研究開発投資と人材確保が鍵となる。

しかし、AIが産業全体の変革を牽引するというコンセンサスは揺るがない。AIがもたらす新たなビジネスモデルやサービスは、検索、eコマース、クラウド、エンターテインメントといった既存領域を横断的に再構築する可能性を秘めている。GoogleとAlibabaが示した「再起」の事例は、創業者のリーダーシップと大胆な資本投入が、既存事業の停滞を打破しうることを示唆している。

今後、両社がどの程度AIエコシステムを拡大できるかは、技術的優位性だけでなく、規制環境や国際的なサプライチェーンの変化にも左右されるだろう。投資家は、短期的な株価上昇だけでなく、長期的な収益構造の変化を注視する必要がある。

まとめ

GoogleとAlibabaは、2025年上半期にAIへの本格的な投資と組織改革を同時に実行し、株価の大幅上昇という形で市場の期待に応えた。両社の成功は、単なる技術トレンドへの追随ではなく、創業者の「再起」精神とそれを支える資本・人材の集中投下が不可欠であることを示している。AI時代において大企業が再生できるかどうかは、リーダーシップがどれだけ「破釜沈舟」の覚悟で変革に臨むかにかかっていると言えるだろう。

出典: https://www.tmtpost.com/7778028.html